ケント・ギルバートが警鐘 「中国“膨張国家”の野心を直視せよ」〈新潮45〉

ケント・ギルバートさん、「中共の脅威について強く感じ始めたのは、かなり最近です。」と書いてますけど本当に遅かったですね。
しかし、日本人で「戦争法案反対」と言っている人たちは、この記事読むべきです。アジア版NATOの必要性、その通りだと思います。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150929-00010003-shincho-cn&p=1

■サイバー攻撃の脅威
 いまだに「日本には平和憲法があるから戦後70年平和だった」という人がいますが、完全に間違いです。あれは「平和を願う憲法」であって、平和を守る力はありません。

 国際法を無視して周辺国に武力侵攻し、そこの民族を虐殺したり、自国からはるか離れた海域の岩礁を埋め立てて領有権を主張するような連中が、なぜ他国の憲法の条文を尊重するなどと呑気に考えられるのか。楽観する思考回路が全く理解できません。中共は自国の憲法すら守りませんよ。

 日本は70年間戦争がなかったと言いますが、本当にそうでしょうか。まず竹島を侵略されて奪われています。あれは韓国との「竹島戦争に負けた」のです。

 では、それ以外では平和だったのか。違います。すでにサイバー戦争が始まっています。従来のハッカーは東ヨーロッパやロシアが中心で、ハッキング対象は産業的なものが多かった。しかし、最近のサイバーテロ犯の多くは中共です。

 これがどれほど危険なことなのか。2009年にイスラエルがイランの核施設のシステムに侵入して強制停止させたことがありました。もはや実質的な攻撃であり、本格的な戦争の前哨戦です。

 例えば、東日本大震災の後、東京23区の大部分では停電しませんでしたが、他の東電管轄域では計画停電がありました。日本にはそれが可能な集中システムがあるのです。日本全土が停電したら、あらゆる機関は停止します。もし北京から日本の電力網をリモートコントロールされたら、とんでもないことになります。

 そういう意味では、現代社会は非常に脆弱です。電力網を狙われて全国的な停電が起きることで、もしかしたら自衛隊がまともに動けなくなるかもしれない。政府機能がいっさい止まってしまうことも考えられます。もしそんなことになったら、中共は何の苦も無く尖閣諸島を占領できるのではないでしょうか。

 もっと深刻な状況もありえます。例えば原子力発電所のコンピューターシステムに入り込んで、暴走させたらどうでしょうか。間違いなくパニックが起こるでしょう。パニックの最中に火事場泥棒を行えば、沖縄や尖閣諸島はあっさり奪えます。かつて原爆が投下された直後に対日参戦し、火事場泥棒を行った国がありました。このような最悪のシナリオを絵空事と笑い飛ばせるでしょうか。

 それから中共がもう1つ怖いのは、中共の人民解放軍は、国の軍隊ではなくて、共産党の軍隊だということです。

 なぜ共産党の軍隊だと危ないのか。それは共産党内部が腐敗しているからです。一党独裁は生ゴミと一緒で必ず腐敗します。それが自然の摂理です。腐敗した党の軍隊は同様に腐敗していきます。習近平主席が浄化しようとしていますが、あまり深入りすると彼自身に危険が及ぶかも知れません。そもそも、あれだけ腐敗した中国共産党のトップの座に、清廉潔白な人間が就けるとも思えない。習近平氏の本当の目的は権力闘争です。

 また、人民解放軍は世界で一番商売熱心と言われ、各種学校から飲食業まで、さまざま企業や施設を運営しています。商売のために戦争を起こすこともありえるし、軍隊が地域ごとの派閥によって分かれていることも不安要因です。ですから、いつどこで、何の理由で軍が暴走するかも分からない。あの国は核兵器も所有していますから、万が一、軍が暴走するようなことがあったら、果たして中央が抑えきれるのかどうか。平時であっても、シビリアンコントロールならぬ、共産党コントロールができているのかどうか、怪しいところです。

 それと、中共の「国防動員法」も気になるところです。日本ではよく知られていないようですが、戦時中の日本にあった国家総動員法みたいなもので、2010年に制定されています。1997年に施行された国防法を補完するもので、「祖国を防衛し、侵略に抵抗する」ため、あらゆる分野を統制下に置き、物的・人的資源を徴用できるというものです。戦時だけでなく平時でも適用できますし、基本的に全ての中共人民を民兵にできます。中共国内にいる人間にとどまらず、国外の人間にも適用できるのです。そのうえ、外資系企業にも適用されます。したがって、中共軍の意志ひとつで、大陸にある日系企業の技術や資産の全てを、中共軍のために提供させられるのです。

 2008年長野市で北京オリンピックの聖火リレーが行われました。あの時、沿道にはチベットやウイグルを支援して中共に抗議する団体が集結。そのカウンターとして、中国人留学生など4000人が集まり、両者間で暴行事件がありました。中共大使館が留学生などに大量動員をかけた国防動員法の実験だったともいわれていますが、日本の報道機関はほとんどニュースにしませんでした。

 確証はありませんが、動員をかけなければ、あれほどの人数が長野に集まるわけがありません。パリやサンフランシスコなど、世界中の複数の都市で、中共の国旗である「五星紅旗」が長野と同じように打ち振られたのですが、この件についても、日本国内の報道はなかった。尖閣諸島における示威行為も中共にとっては実験のひとつで、あの国は時々そうした実験めいたことを行うのです。オリンピックの聖火リレーであれだけの動員が出来たのだとしたら、有事の際はどうなるのか。中共国籍の在日中国人は70万人近くいる上、爆買いの観光客もいます。

 中国人全員を敵として見ろとは言いません。ただし中共政府については、日本の安定及びアジアの安定を脅かす可能性を持った存在であることは絶対に忘れないほうがいい。そういう国が隣にあって、日本国内でも様々な工作活動を行っている現実を、日本人はもっと脅威として感じるべきではないでしょうか。

 ***

ケント・ギルバート
1952年米国アイダホ州生まれ。71年ブリガム・ヤング大学在学中にモルモン教の宣教師として初来日。80年同大学大学院卒業後、国際法律事務所に就職。法律コンサルタントとして再び来日する。

【特集】「『最も危険な国』中国の臨海」より
※「新潮45」2015年9月号
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